知っておくと役に立つちょっとした医学

生命を助けるための応急処置や病気・症状等の知識を掲載していきます。

過換気症候群

体が必要としている量以上の空気を吸ったり吐いたりする呼吸の状態を過換気といいます。体が要求している量以下の空気しか肺胞に入らない状態は低換気で、いろいろな肺の病気でおこりますが、過換気はその逆の状態で、肺胞におけるガス交換の行き過ぎ現象になっております。過換気の状態におちいると、酸素の50倍も拡散しやすい性質をもつ二酸化炭素が血液中から体外に過剰に吐き出され、血液中の二酸化炭素の量が減りすぎてしまいます。二酸化炭素は呼吸中枢を刺激し、呼吸の調節を行う物質なので、これが減りすぎると延髄の呼吸中枢に対する刺激は減ります。すると、上位中枢である大脳は、もっと大きな息をしろという命令を出します。これによって、ますます血中の二酸化炭素は排泄され、二酸化炭素欠乏にともなう症状が現れてきます。人間は、苦しいときにはもっと大きな息を吸えば良いという知識を身につけているために間違ってしまうのです。この知識の無い子供にはおこらないのです。過換気は、心配事や興奮など、感情などが一時的に激しく動いた場合に、それが原因でおこってきます。