知っておくと役に立つちょっとした医学

生命を助けるための応急処置や病気・症状等の知識を掲載していきます。

肺水腫

肺循環系のうっ血が高度のため、水分が肺胞や肺間質に漏れた状態をいいます。この状態は、僧帽弁狭窄、大動脈弁閉鎖不全、高血圧性心臓病などで、左室の機能が低下した場合におこりやすいものです。この症状は、呼吸困難、喘鳴、起坐呼吸、チアノーゼの怒張などがあり、多量の泡沫状のたんができるのが特徴です。聴診すると、全肺野で水泡性のラッセル音が聞こえてきます。酸素吸入のときに、加湿容器の水にアルコールを加えると除泡剤となって、泡だらけのたんがなくなり、呼吸が楽になります。

人工中絶

結核や心臓病などを合併した妊婦で、なりゆきによっては、生命に危険がおよび、妊娠を継続することがむりな場合があります。このような母体を保護するために、優生保護法が制定され、人工中絶が合法的に行われています。優生保護法によれば、精神病や遺伝疾患のほか、身体的または経済的理由から、母体の健康を著しく害するおそれのあるもの、および暴行など強姦されて妊娠した者には、指定医の判断で中絶を行うことができます。医学的に人工中絶とは、胎児を人工的に流産させることで、胎児が母体外で生命を維持できない妊娠第6月末までが中絶可能の条件になっております。第6月未満といっても技術的には初期の第2~3月と中期の第5~6月では大きな差があり、中期は小型の分娩をしなければなりませんから、1週間くらいの入院が必要になります。

胸の大けが

交通事故、高い場所からの転落、重い物の下敷きになっていたりしたときは、肋骨の骨折がよくおこります。

呼吸をして胸の痛みが強くなるときは、骨折の疑いがあります。胸痛のため呼吸は浅く、速くなります。上半身を高くして寝かせてあげます。また、サラシかバスタオルを胸にまきつけ、胸壁を固定します。こうすることによって胸の痛みが楽になってきます。状態がひどいときは、すぐに病院につれていくか、救急車を呼んでください。自転車のハンドルで胸を打ったときは、気管が傷つくことがありますので気をつけてください。

肺血栓・肺塞栓症

これは、何かの原因で、血液が血管の中で固まると血管はつまってしまいます。このことを血栓といいます。外傷をうけて破れた血管から空気がはいったり、ある臓器のがんでがん細胞が血液中に流れ出たり、ある場所にできた血栓がはがれて肺循環系に流入し、肺の血流障害をおこした状態と、肺血栓・塞栓症といいます。肺は、ガス交換という作用のほかに、大循環の静脈系から流れでてきたいろいろな異物を除くフィルターの役目もしております。ですから、小さな塞栓があっても吸収してしまう防御能力があります。しかし、大きな塞栓がおこったときは、胸痛、呼吸困難になりきわめて危険な状態となります。

乳汁分泌不全

母乳の出をよくするためには、睡眠や休養を充分にとり、食事に注意することが大切です。カロリーは普段の1倍半は必要です。良質の栄養をバランス良くとるのがよいです。赤ちゃんに乳首を吸わせることが刺激になって、下垂体後葉からホルモンが分泌され、それが乳房に作用して母乳を出すはたらきを促進します。このオキシトシンは子宮を収縮させる作用がありますので、乳児に乳首をふくませてやると、母乳の出をよくすると同時に産後の子宮の回復をも助けることになります。母乳をとめたいときは、乳房を冷やすと効果があります。